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医療崩壊 その3

前回日本の医療費が安いことを書いた。国際的に比較して、日本の医療費、特に所謂専門的な技量を必要とする医療の医療費はものすごく安い。特に手術の技術料は驚くほど低く抑えられている。これは技術という眼に見えないものを評価することがもともと少ない日本というか、アジアの土壌に根ざしているのかもしれない。低い技術料を、物品、例えば人工関節の納入価格と保険の価格のわずかな差額で補っているのが現状で、それとても本来高い技術をもったひとに十分に報いるものには程遠いのが現状である。

日本の医療のさらに特殊なのは、高い専門的な技術を実際に発揮している30才台から40才代にかけての報酬が低く抑えられているのに対して、そうした専門的な医療から引退して、開業して家庭医になってからのほうが収入が一般的に多くなるというところにある。世界的に見て、専門医よりも家庭医のほうが収入が多いのは日本とデンマークだけだそうである。 大病院に勤務して難しい病気の治療をしている小児科医の収入が少ないことがおかしいという疑問を、知り合いの成功している開業医の先生にぶつけてみたところ、なに開業すれば元が取れるだからという答えがかえってきたことがあった。風邪のなかに重大な疾患が隠れていることがままあるから、開業している小児科医の重要性を否定するものではないけれど、まあ普通に考えて、大病院で、寝る間を惜しんで、難病から、普通の風邪までの診療をしている小児科医の方が、主として軽い病気を見ている開業小児科医より収入が少ないのはおかしいと思うわけです。

ただ今の日本の医療制度は長年の歴史的な積み重ねの結果としてあるものなので、闇雲にいじると混乱が広がって、かえっておかしなことになる。それはちょうどいま厚生労働省の朝令暮改の制度改正で、現場が混乱しているのと同じである。

でも皆で知恵を絞れば、よい解決策はきっとあるんですね。

その辺はまた明日以降に書いて行きます。

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