愛鷹山

筆者の趣味は山登りである。と言いつつも、若い頃から時々山には登っていたが、趣味と言えるほど山に登るようになったはここ2年ばかりのことである。今年は1月に高尾山と筑波山、2月に天城山と登った。そう、経験も体力もないから雪のある冬山は登れないのである。3月25日には東京を4時30分に出発して愛鷹山に行ってきた。正確に言うと登山口の駐車場まで行って来た。東京を出るときは小雨だったのだが、御殿場、裾野と近づくうちに、よこなぐりの豪雨となり、登山口の駐車場では、車から出ることさえも出来ないような豪雨となっていた。下山予定の別の登山口への林道は川となっていた。というわけで、あえなく敗退となった。今年の夏には初めての縦走を北アルプスで計画しており、なにしろ足を鍛えなければいけないのである。4月には、距離27km、累積標高差たぶん1500mを1日で歩ききろうと無謀な計画を立てている。コースタイムで11時間。天気しだいである。土曜日も働いていて連続の休みが取れないので通常1泊2日を1日でこなそうと考えている。

タミフルを巡る混乱

タミフルについて連日報道されている。現場の私たち医師も正直混乱している。

そもそも今はやっているインフルエンザは普段元気な成人にとってはちょっと重めの風邪であって、休養と栄養をとれば命にかかわることはまずない(絶対に、ではないですよ)。タミフルを摂取しても熱のある期間が1-2日短くなるだけです。

ところが子供ではご存知のように脳症という重篤な状態になることがあり、命を落としたり、重い後遺症が残ったりすることがあるのです。またどのような人が重い脳症を発症するかは、今のところ事前に予測することが不可能なのです。 この脳症の発症は以前は7歳以下に多いといわれていたのですが、10才台でも報告されています。さて、ここで我々が混乱するのは

1)タミフルによって脳症が防げるのか、タミフルを飲んでも脳症の発症率は変わらないのかについてのデータがない

2)タミフルと異常行動の関連についての客観的なデータがない

この二つがわからない限り、このなんでも訴訟の時代ですから、タミフルを投与しても、投与しなくてもなにか問題が起こったときに訴えられる可能が生じてしまうのです。

また新型インフルエンザがもし流行り始めると、今のところ有効な対応策はタミフルとリレンザしかない上に、リレンザは入手困難なので、タミフルを飲まざるを得ない。しかし、あまりタミフルの危険性ばかりが強調されると、必要なときにタミフルを飲まない人も出てくるかもしれない。

などなどいろいろなことが頭を駆け巡るわけです。

最後に自分の子供だったらどうするかということを書きます。インフルエンザにかかって、高熱を出して真っ赤な顔をしているが、あまり汗が出ないという状態は、漢方で言う典型的な太陽病なので、漢方薬の麻黄湯を使います。その時に注意することは、薬は熱湯に一度溶かして冷ましてから飲むこと、できれば空腹時に飲むことです。葛根湯にも麻黄が含まれているので、葛根湯でも代用可能です。そして、ちょっと多めに使います。甲状腺機能亢進があると使えないなど、この処方にはいくつか注意点があるので、漢方に詳しい先生に相談してくださいね。

またインフルエンザにそっくりな症状を起こす病気にレジオネラ症というのもあります。レジオネラという細菌を温泉施設などで大量に吸入すると起こる病気で、早いうちに適切な抗生物質を使わないと、体の弱っている人では命を落とすこともあります。
世界中で、インフルエンザですぐに医者にかかれて、診断キットですぐに迅速診断されて、タミフルを含めて適切な治療を受けられるのは、実は先進国を含めて日本だけなのです。

他の国ではどうしているかって? 例えばイギリスやアメリカでは、アセトアミノフェンを飲んで家でじっとしているだけです。

幸せすぎることによる不安感

三丁目の夕日をごらんになった方は多いであろう。舞台は昭和33年の愛宕周辺といわれる。筆者が生まれて1年後。日本が高度成長に向かい始める頃で、町には活気が溢れていた。がしかし、今と比べて、暮らしやすい時代だったのであろうか。確かに若く、活気に溢れた時代ではあったかもしれないが、今の方が尾より多くの人が幸せに暮らしている。当時東京で防空壕跡を住居にしていた人2万人、公務員の初任給一月分以下の年収が12万世帯。まあ要するに皆貧乏だったのです。青少年の凶悪犯罪も今より多かった。今はみなが衣食足りて、帰って未来に不安になりすぎているのではなかろうか。筆者は小学校入学前後の数年を沼津市内で過ごしたが、家の前の道は舗装されておらず、毎日通る馬車の馬の落し物が落ちていた。 橋の下には乞食が住んでいて、うちにもお金を貰いに来て、5円とか10円を両親はそのたびに渡していたように思う。町のアーケード下には傷痍軍人の悲しいアコーディオンのメロディーが流れていた。今の時代は多分日本の歴史上もっとも庶民が幸せな時代と思う。だって子供が生まれても間引かなくてもいいんだよ。だから皆この幸せを失うことを恐れて、過度に不安になっているんだ。それはちょうど、健康な人たちの健康ブームのようなものである。

上馬クリニックブログ

はじめまして。

東京世田谷で開業している医師です。外来、往診、出張麻酔、ホメオパシー診療をハイブリッドに組み合わせながら塗口をしのいでいます。これから日常の思うところを綴っていきたいと思います。よろしくお願いします。


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